グーグルが「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則を撤廃した後のウェブ戦略について

2010年10月11日

グーグルが「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則を撤廃したことをお伝えした9月6日のブログ「米Google、『検索結果には同一ドメインから2ページまで』の原則を変更」と9月7日のブログ「グーグルの『検索結果には同一ドメインから2ページまで』の原則を変更は既に日本でも始まっている?」を書いてから1ヶ月余り、グーグルによる「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則の撤廃は間違いなく日本国内にも及んでいます。

前回のブログの中で、日本と米Googleの検索結果の違いとして挙げた

米Googleの検索結果の1位の下に

  More results from rakuten.co.jp

というリンクが現れることです。

は、日本のグーグルの検索結果にも現れるようになりました。

日本のグーグル検索では、

  rakuten.co.jp からの検索結果 »

と表示されるようになっています。

グーグルの検索結果01


既に、米Googleと同じとなっていますね。


「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則が生きていたころのウェブ戦略(=ドメイン戦略)とは?


「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則撤廃がこれからの検索戦略にどんなことをもたらすようになるかを理解するために、まずは「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則があった頃のウェブ戦略(=ドメイン戦略)について振り返ってみましょう。

検索結果には同一ドメインから2ページまでしか表示されないという原則は、比較的規模の大きいウェブサイトからすれば決して歓迎すべき原則とはいえませんでした。

それはそうでしょう。検索結果に自分のサイトから多くのページが掲載されれば、それだけ数多くの人から覧てもらえる可能性が高くなるわけですから。

例えば、モールサイト(=ショッピングモールサイト、ECサイト。楽天市場のようなサイトと言えば分かりやすいでしょうか)を例にとってみます。

このモールサイトには、商品さくらんぼを販売しているお店5店舗が出店していたとします。

その場合、検索エンジンを使って「さくらんぼ」と検索した場合、
どんなに頑張っても検索結果には同一ドメインから2ページまでしか表示されないわけですから、5店舗中、最大2店舗(場合によっては1店舗で2ページ表示される可能性もなくはないので)までしか検索結果には登場しません。

これは表示されなかったさくらんぼを販売する店舗にとっては大きな痛手です。

ではより多くのさくらんぼ販売店舗が検索結果に表示されるようにするにはどうしたらいいでしょうか?

同じモールサイトに他のドメインを導入すればいい、と考えられます。


全く別のドメインを導入するか、それともサブドメインを設定するか?


他のドメインの導入を考えた場合、
まったく別のドメイン、すなわち別のドメインを取得するか、それとも現行のドメインにサブドメインを設定するかの選択に迫られます。

実はここでも検索エンジン側の方針に左右されることになります。

かつて、サブドメインの扱いについてはヤフーとグーグルで異なっていました。ヤフーはサブドメインを別サイトとみなし、グーグルはサイトの状況により別サイトとみなす場合もあれば、同一サイトとみなす場合もあるというのです。検索エンジン側のサブドメインの扱いについてはかなり曖昧だったわけです。

もうひとつモールサイトがサブドメインを分けて使うのには大きな問題があります。

あまり深く考えることなく、既に www. をURLに付けてモールサイトとしてスタートを切ってしまっていたからです。(wwwも厳密にはサブドメインです。)

例えとしてモールサイトのドメインを www.mallsite.co.jp とします。

その www.mallsite.co.jp がサブドメインとして、任意の名称を付け、

  shop1.mallsite.co.jp
  shop2.mallsite.co.jp
  shop3.mallsite.co.jp

と増やして行ったのでは、明らかに www.mallsite.co.jp のドメイン内に店舗を持ったほうが有利に思われます。shop1、shop2、shop3と分けたことで、そのサブドメイン間にも検索順位の優劣が発生することは否めません。(原則モールサイトは出店店舗に対して平等である必要があります。)

そうかと言って、下記のように、サブドメインを商材の種類毎に分けるのも得策ではありません。

  tv.mallsite.co.jp(テレビを商材とする店舗用のサブドメイン)
  cloth.mallsite.co.jp(衣服を商材とする店舗用のサブドメイン)
  fruit.mallsite.co.jp(果物を商材とする店舗用のサブドメイン)

ショッピングモールサイトがサブドメインに分けたそもそも理由が同業者の店舗ホームページを検索結果に沢山掲載されるようにしたいためだったのですから。同業者を1つのサブドメインで括ったのでは本末転倒です。
(ちなみに、販売元が1つの企業に限った場合、上述のような商材毎にサブドメインを設定する戦略がとても有効な手段になることはあります。)

このようなサブドメインの扱いずらさもあったからでしょうか、
楽天市場さんには、現在ショッピングモール用に2種類のドメインが存在します。

  www.rakuten.co.jp
  www.rakuten.ne.jp

これにより、少なくともドメイン1つについて2ページずつ、最大4ページ検索結果に載ることができるわけです。
(楽天市場さんのドメイン戦略については、もう少し丁寧に詳しくこのページの最後で説明します。)


話を「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則が撤廃されたグーグル検索の検索結果ページ戻します。

「楽天+商材」という検索キーワードで検索した場合、

これまでなら、楽天市場内の店舗のトップページが2つのドメイン、www.rakuten.co.jp と www.rakuten.ne.jp から4つ検索結果に現れていたものが、

「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則が撤廃されて現在では、ずっと多くの店舗ページが検索結果に表示されるようになりました。

ところが、ここでもうひとつ新たな問題が生じています。

現状、明らかにドメイン的に www.rakuten.co.jp の方が www.rakuten.ne.jp よりも優位に立っているということです。

そのことは、

「楽天+商材」という検索キーワードで検索した場合の検索結果第1位の下に、

  rakuten.co.jp からの検索結果 »

と表示されることからも明かです。
(これはほぼ全ての商材で言えます。)

ここで検索ユーザーが「rakuten.co.jp からの検索結果 »」をクリックしたら最後、rakuten.ne.jp に登録してある店舗のトップページは、永遠に検索結果に表示されることはありません。

別の言葉で言えば、
グーグル検索は「楽天(のウェブサイト)」を「rakuten.co.jp」とみなしている、ということです。

そう考えると、楽天市場に対してドメインを2つ設定したことがが、今となってはかえって裏目に出た結果となります。


現在のサブドメイン戦略について


かつて、サブドメインの扱いについてはヤフーとグーグルで異なっていて、ヤフーはサブドメインを別サイトとみなし、グーグルはサイトの状況により別サイトとみなす場合もあれば、同一サイトとみなす場合もあるということを先に書きました。

現状はどうでしょう? サブドメインに対するヤフーやグーグルの扱いについて、両者とも別サイトとして扱っていると言ってほぼ間違いありません。

ところが、サブドメインの使用についても設定(やページの作り)を誤るととんでもない落とし穴にはまることがあります。

次の検索結果は検索キーワード「ヤフーショッピング+カメラ」で検索した際の、グーグルの検索結果です。

グーグルの検索結果02


検索結果1位〜4位までをヤフーオークションサイトによって占められています。

「ヤフーショッピング+カメラ」で検索するユーザーは、別にオークションでカメラが欲しいのではなく、ヤフーショッピングの店舗から新品のカメラが欲しくて検索していると考えられます。

ちなみに検索結果5位の「Yahoo!ショッピング-カメラ-おすすめ」というページに実際に行ってみて分かるですが、どうやらいわゆるカメラのカテゴリーページのトップらしいのです。

 (当該ページのパンくずリスト=ページの階層を示すリンク
  ショッピングトップ > AV機器、カメラ > カメラ

ヤフーショッピングのページ


同様の検索キーワードで、ヤフー検索から検索すると、
グーグル検索5位の「Yahoo!ショッピング-カメラ-おすすめ」が
第1位で検索結果に現れます。

ヤフーの検索結果01


「ヤフーショッピング+カメラ」でのグーグル検索の結果ページには、

  list3.auctions.yahoo.co.jp

というサブドメインをもつホームページが10位中5つ占めています。
(原則を撤廃していないヤフー検索ではもちろん2つです。)

ある意味、「ヤフーショッピング+カメラ」という検索キーワードについていえば、グーグル検索よりもヤフー検索のほうが優秀だと言えないこともありませんが、こらから日本でも主流となるグーグル検索です。無視するワケにもいきません。

グーグル検索においては、サブドメインの力関係いかんでは、本来上位表示されるべきホームページが下位に、かなり下位に表示されることにもなりかねないということです。
(実際にはページ自体の作り=文字の使用方法にもかなり検索順位は影響されます。上手く作れば、適切に狙ったほうのページを上位表示させることは可能です。)


「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則が撤廃された後のウェブ戦略(=ドメイン戦略)とは?


直前に、グーグル検索においては、サブドメインの力関係いかんでは、本来表示されるべきホームページが下に、かなり下に表示されることにもなりかねないといと書きましたが、この事態は同一サイト内だけの問題ではありません。

検索キーワードによっては、明らかに優位になるウェブサイトと不利になるウェブサイトが出てきます。

例えば、「楽天+ういろう」で検索した結果をご覧ください。

グーグルの検索結果03

同一ドメイン=同一店舗のお店が10位中4つも掲載されています。


その他、例えば、カステラが食べたくて、「モールサイト名+カステラ」で検索した時、これまではモールサイトのホームページの間に挟まって現れていた独自ドメインのカステラ販売ホームページは検索結果から姿を消します。

その結果、ページタイトルやキャッチコピーが良くて、モールサイトの間の検索結果に登場して、ちゃっかり売り上げを伸ばしていたホームページは少なくなります。
(「楽天」という検索キーワードが含まれている際の検索でも自社サイトを検索結果に表示したい場合、「楽天では入手できない逸品を扱うネットショップです」的なコピーを自社サイトの商品ページに入れておけばOKです。)


検索の世界では、強いウェブサイトはこれまで以上に有利になり、弱いサイトはこれまで以上に不利になるのは明白です。

しかも、残念なことに、グーグル検索ではリンク買い(厳密には不正行為)のできるお金持ちな運営者や巨大なウェブサイト(巨大なウェブサイトとは、規模の大きさだけでなく、知名度が高く、ブランド力の高いウェブサイト)を作れるお金持ちな運営者にとって有利と言えます。
(その反面、ほとんど中身のない投稿のブログサイトを上位表示させるといった不可解さも常にグーグル検索にはつきまといます。)

別の言葉で言えば、検索世界の資本主義化とも言えますね。

潤沢な資金をもたない会社には、より高いウェブ戦略とホームページの作りが要求されます。


「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則が撤廃された背景


「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則を撤廃したグーグル側の背景を最後に取り上げてみましょう。

1.検索精度の向上によるグーグル検索側の自信

一番の背景として、検索キーワードに対する検索結果(の順位)の技術的精度が以前より進歩し、検索キーワードと検索結果の関連性やウェブページに対する評価を自信をもっておこなえるレベルまで達したとグーグルは判断したと考えられます。

自信があるから、すべてのウェブページを評価し、その中から検索キーワードと関連性の高いウェブページを垣根無く(=2ページまでという制限なく)検索結果として表示できるし、またそうしたほうが検索ユーザーにとって有用だとグーグルは判断したのでしょう。

これについては個人的な感想として、未だにグーグルの検索結果の上位に現れるとんちんかんなホームページ、とりわけ中身のないブログサイトの多くを目にすると、グーグル検索もまだまだだなと思います。このグーグルの自信がグーグル側の傲りでないことを願います。

同時に近年、検索エンジンの影響力の大きさを鑑み、その信憑性に対する疑問の声が大手企業や有識者から数多くあげられるようになっていることも付け加えておきます。


2.トップレベルドメインの自由化に対するグーグルの回答

トップレベルドメインの自由化については、このデザクロブログでも何度も取り上げてきました。その中で、大企業名のトップレベルドメインを検索エンジン側が今後どう扱うかを注意深く見守る必要があると言いました。

まだ企業トップレベルドメインは誕生していませんが、
すべてのウェブページを評価し、その中から検索キーワードと関連性の高いウェブページを垣根無く(=2ページまでという制限なく)検索結果として表示するというグーグルの方向転換を見れば、その方向転換こそ「トップレベルドメインの自由化」に対するグーグルの回答であることが分かります。

即ち、検索キーワードと関連性が高ければ、(トップレベル)ドメイン名に関係なくウェブページをどんどん上位に表示するということです。


◎これまでにトップレベルドメインについて取り上げたデザクロブログ

  (2010年03月16日)
  (2009年12月04日)
  (2009年10月08日)

ドメインについては弊社ホームページのひとつ、ウェブサービス活用法の中でも取り上げています。


最後に


少し長くなしました。

数年前までは、ホームページは、特にトップページはその見やすさを考え、一画面に収まる分量が最適とされていました。同じコンテンツでも分量が長くなれば、数ページに分けていたものです。(今でも勉強不足なホームページ制作者や、あるいはクライアントがそうした時代遅れな考えでいるケースは多々あります。)

今ではその考え方はまったく当てはまりません。

現在は「1ページ1コンテンツ」がウェブページ作りの原則です。
(大規模なウェブサイトはこの制作の原則を無視しても、それほど問題ではりません。無視しても検索エンジンの評価は既に高いはずですから。)

この「1ページ1コンテンツ」の原則も、どちらかと言えば
検索エンジン側の評価を気にしてのことです。

それ程、ホームページ制作側も検索エンジンの動向に影響されてしまいます。

実際、ホームページ作り(特に企業サイトやショップサイト)においては、1ページをどう構成するかはものすごく考え、悩みます。
検索エンジン対策としての「1ページ1コンテンツ」の原則と同時に、
成果率や成果率を上げるためのページの構成もやはり重要になってくるからです。検索と販促の両者を同時に考えながらのページ作りがとても重要です。

グーグルが「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則を撤廃した現在、ドメイン戦略も大きく変わることを余儀なくされます。
(もちろんその原則撤廃がどこまで当てはまるかの見極めも重要です。)

一番顕著な影響は、自社ドメインを分散させる戦略に現れます。自社ドメインを意識的に分散させて外部リンクを稼ぐ(=自作自演リンク)ことのメリットとひとつのドメインのウェブサイトを強大化させる(=ドメインのブランド化)メリットとのどちらが有利になるかを改めて見極める必要があります。
(これについてはもう少し時間をかけて検索エンジンの変化の動向をみないと結論は出せませんが、ドメインのブランド化は必須です。)


2010年、グーグルは「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則を撤廃し、グーグル・インスタント検索をスタートさせました。

その意味で、2010年が検索エンジンにとっての大きな節目となることは間違いありません。

そんなこともあり、数回に分け、グーグルが「検索結果には同一ドメインから2ページまで」の原則を撤廃したこととグーグル・インスタント検索について取り上げてみました。

今後も、検索エンジンに動きがありしだい取り上げたいと思います。


………………………………………………………………


【楽天市場の2種類のドメインについて

楽天市場さんには、現在ショッピングモール用に2種類のドメインが存在します。

  www.rakuten.co.jp
  www.rakuten.ne.jp

上の www.rakuten.co.jp は通常の楽天市場のお店用で、
下の www.rakuten.ne.jp は楽天GOLDと呼ばれるサービスを利用する楽天市場のお店用のドメインです。

楽天GOLDを利用した場合、店舗トップページのデザインが自由に行えます。(楽天以外への外部リンクは禁止のままです。)ただし、個々の商品ページは、item.rakuten.co.jp という rakuten.co.jp のサブドメインを利用します。店舗のトップページは rakuten.ne.jp 下、商品ページは rakuten.co.jp 下という別々のドメイン下に分かれることになっています。

したがって、「楽天+商材」という検索キーワードで検索した場合の検索結果第1位の下に表示される

  rakuten.co.jp からの検索結果 »

をクリックした場合、楽天GOLDを利用した店舗のトップページは表示されませんが、個々の商品ページについては問題なく表示されます。


今現在、楽天のウェブサイトが検索上位に表示にされるのは、楽天のウェブサイトが強大だからに他なりません。

楽天の場合、早くにショッピングモールサイトを立ち上げたため、ウェブ戦略的に振り返った場合、決して上手な戦略とはいえない面が多々あります。もし上手にやっていたら、通常検索でも軒並みほとんどの楽天ショップが検索結果の上位に表示されることも可能だったでしょう。

その意味でも、やはりウェブ戦略はとても重要ですね。


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