「SEOの視点で見るFlashの使い方・使いどころ」【アドビエッジニュース】への反論

2010年2月25日

アドビシステムズ(Adobe、以下「アドビ」)が発行するメールマガジン(ホームページにも掲載)に【アドビエッジニュース】というものがあります。このメルマガ、主に Web 制作者向けプロフェッショナルツール群(Flash、Dreamweaverなど)の最新情報やユーザ事例やセミナー、開発者向けの Tips などを紹介するニュースメールです。

アドビは他にも、画像編集ソフトの Photoshop や Illustrator、Acrobat などクリエーター用のアプリケーションを提供する、ウェブ制作者・印刷業・出版社必須かつ御用達の世界的ソフトウェア会社です。

そのアドビから昨夜配信された【アドビエッジニュース vol.44】の中に、「SEO の視点で見る Flash の使い方・使いどころ」なる記事があり、興味があったので目を通しました。

が、はっきり言って、まさかアドビが公式メールでここまで歪曲した記事、自社にとって都合のいい記載を載せるのかと、正直唖然としました。この記事の筆者 住(すみ)氏は一般の SEO 業者ですが、なぜここまで事実に反して “いわゆるアドビの肩をもつ記事” を書くのだろうかというのが率直な感想です。あるいは単に検索エンジン対策を良く知らない SEO 業者に過ぎないのかもしれませんが。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、検索エンジン最適化(=SEO)の観点から SEO 業者である筆者 住氏の記事を検証してみます。

「検索意図によってはフル Flash サイトも検索可能」について


グーグルやヤフーの検索技術は数年前と比べても格段に進歩していて、Flash コンテンツや PDF コンテンツは既に前から検索可能です。

Flash コンテンツが検索可能だということについては、2008年6月30日付のグーグルの公式ブログ「Improved Flash indexing」(英文)で詳しく述べています。(関連記事「Google、Flashをインデックスできる新アルゴリズム公開」)ただし Flash で制作されたコンテンツ内のテキスト部分がアウトライン化されていない状態でないと上手く検索されません。

それゆえ、そもそも Flash サイトが検索可能ということを強調することが無意味です。


ところで、筆者 住氏は「フル Flash サイトが検索可能である」ことを示すために、グーグル(検索キーワード「龍馬伝」)とヤフー(検索キーワード「lexus」)でそれそれ検索結果第1位となっている2つのウェブサイトを紹介しています。そこに大きな問題があります。


上図の例で示された2つのフル Flash サイト(実はそうではないことは後述)は次の通りです。

 「大河ドラマ『龍馬伝』(http://www9.nhk.or.jp/ryomaden/)
 「LEXUS(http://lexus.jp/)

SEOについて言う前に、そもそも「大河ドラマ『龍馬伝』」のサイトはフル Flash のサイトではありません。下図で示す赤枠の箇所以外は普通にテキスト(文字や代替テキスト)が入っています。そのテキストの中には「龍馬伝」という言葉も使われています。



ではこの2つのサイト、ホームページの作り(=内部要因)の良さで検索結果第1位なのでしょうか? 答えは NO です。

両サイトの被リンク数(=外部要因)を調べればわかります。
(投稿執筆時の被リンク数です。)

ホームページ「大河ドラマ『龍馬伝』」の被リンク数

ホームページ「LEXUS」の被リンク数

  「大河ドラマ『龍馬伝』」の被リンク数  71,400件
  「LEXUS」の被リンク数 99,500件

どちらも、めちゃめちゃ多い被リンク数です。しかも良質のリンクも多数あります。ホームページのコンテンツが Flash であろうがなかろうが、これだけの被リンク数があれば(もちろんトラフィックも膨大なことは容易に想像がつきます)検索結果最上位に表示されるのは当たり前です。たとえホームページのクオリティ(=SEO内部要因)が10分の1のホームページであっても、もしこれだけのリンクポピュラリティがあれば、検索結果の最上位に行きます。

圧倒的な被リンク(=外部要因)の数で検索結果の上位を獲得しているわけですから、その場合ホームページがフル Flash サイトであるかどうかは問題にはなりません。従って、フル Flash サイトでも検索結果上位を獲得できるという例えとしては全く不適切です。

適切な例を挙げたいのなら、被リンク数(=SEO外部要因)の全くない、つまりホームページの作り(=SEO内部要因)自体で検索順位を問題にすべきです。そうしない限り、ホームページの SEO 内部要因として Flash の有り無しが検索順位にどう影響するかはわからないわけですから。

しかも笑えることに筆者の住氏本人がこの項目の最後に次のように書いています。

この種のフルFlashサイトを制作する場合にSEOの観点から注意するべき点は、keywords meta要素とdescription meta要素をきちんと記述しておくことに加えて、title要素の内容をユニークなものにしておく、という程度で十分です。あとは十分な数の被リンクさえあれば、ナビゲーション目的で検索するユーザーのトラフィックを損失することはありません(強調:長谷川)

だから、この場合の「被リンク」は直接 Flash のコンテンツとは何ら関係ない話でしょう!

被リンクを持たないフル Flash でできたホームページが検索結果の上位に全く表示されない例を山ほど知っています。アドビや住氏は被リンクを持たないフル Flash サイトが検索結果の上位に表示されることを証明しない限り、フル Flash サイトが SEO 的に不利にならないことを証明したことにはなりません!

天下のアドビがこのような無意味な例を取り上げ、自社の Flash が SEO 的に不利でないことを伝えようする行為には本当に驚きました。困ったもんです。



最後に「大河ドラマ『龍馬伝』」と「LEXUS」のホームページの作りにも少し触れておきます。「LEXUS」のトップページはほぼフル Flash のサイトです。ごく一般的な Flash コンテンツの配置をしていて、Flash が読み込めない場合の “高いユーザビリティとSEOを実現する措置” はとられていません。それに比べて「大河ドラマ『龍馬伝』」のトップページは Flash が読み込まれない場合の “高いユーザビリティとSEOを実現する措置” が(不完全ながら)きちんととられています。Flash コンテンツのあるホームページ制作の参考になります。

Flash が読み込まれない場合の措置がとられていないトヨタ「レクサス」のホームページ

Flash が読み込まれない場合の措置がとられいるNHK「龍馬伝」のホームページ


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