オーバーチュアの解散と検索連動型広告(リスティング広告)について

2009年8月30日

検索ポータルのヤフーが、100%連結子会社であり検索連動型広告の業務を行うオーバーチュアを2009年10月1日付で吸収合併すると発表(2009年8月28日)。それに伴いオーバチュアは解散するとのこと。

オーバーチュアは、米Overtureの日本法人として2002年12月から検索連動型広告「スポンサードサーチ」を提供。2007年8月にヤフーの100%子会社となり、ヤフー傘下に入っていました。今回の吸収合併は、ヤフーブランドの強化が目的とのこと。


ブランド強化の背景と問題点


ブランドの強化、ですか...その背景には日本の検索エンジン界におけるグーグル(アドワーズ)の躍進がありそうですね。

オーバチュアの吸収合併に伴い、危惧されるのは検索結果の表示の在り方ではないでしょうか。

ここで改めて指摘することでもないかもしれませんが、検索エンジンはグーグルにしろ、ヤフーにしろ、一民間企業が提供するサービスに過ぎません。利潤を追求するのが企業であり、利益を上げることが検索エンジンを提供する目的なわけです。他方、検索エンジンを運営する側(グーグル、ヤフー)は、自社の検索エンジンの公平性や検索結果の妥当性を主張します。実際、両者とも今のところ検索結果に対してはシビアに向き合っていると言えます。だからこそ万人に受け入れられ、利用されているのでしょう。(既に利益主義に突っ走っている検索エンジンもあります。言わずと知れた「インフォシーク楽天」です。)

繰り返しになりますが、検索エンジンは民間企業が営利目的で提供するサービスです。極端な話、検索エンジンがどんなデタラメな順位を算定したとしても、利用者がそれにクレームをつけることはできません。フィールドは違いますが、ミシュランの格付けと似たり寄ったりですね。

ここで少しだけ検索連動型広告に触れておきます。

検索エンジンを提供するヤフーやグーグルの収益源の大半は、検索連動型広告を拠り所としています。検索エンジンの結果が表示されるページには、通常、自然検索の結果と検索連動型広告の2種類が表示されます。そしてそれを見た人が検索連動型広告をクリックすると、そのクリックに伴い1(ワン)クリック○○円の料金がその広告を出稿した広告主に対して発生します。検索エンジン側は、検索連動型広告をクリックしてもらればしてもらうほど、収入がアップする仕組です。

なお、自然検索のことを専門用語ではオーガニック検索といい、検索連動型広告は他にリスティング広告(リスト化されて表示される広告)、PPC広告(Pay Per Click)、CPC広告(Cost Per Click)、スポンサー広告、成果連動広告なとど呼びます。(ご参考までにこの投稿の最後にリスティング広告の費用について触れています。)

実は、ヤフーは既にリスティング広告のクリック数を増やすのが目的で、2008年11月以降、リスティング広告とオーガニック検索の結果表示の区別がつきにくいデザインに変更しました。皆さんは気づかれていましたが? 気づいていた方はスゴイです! おそらくは気づいていない方が大半だと思います。この変更でヤフーは成果を上げ、リスティング広告のクリック数が増加したそうです。(記事内容の趣旨は若干違いますが、CNET Japan の「ヤフー VS グーグル--見られるリスティング広告はどっち?」に、ヤフーがデザイン変更に伴いクリック数を増やしているということ掲載されています。)

下図、赤の囲みの部分がリスティング広告。上が旧ヤフー、下が現在のヤフーのデザイン。





オーガニック検索とリスティング広告は、その性質上全く別物です。オーガニック検索はほとんど全てのホームページを検索対象としているのに対し、リスティング広告はあくまでお金を払ったお客様のホームページだけを検索対象にしていますから。

リスティング広告とオーガニック検索の結果の境を曖昧にし、なおかつリスティング広告がオーガニック検索の上に表示されるということは、あたかもそこにあるリスティング広告が検索上位という印象を強く与えます。実際、検索上位だと勘違いしてクリックしている方が大勢いると考えられます。特に検索に詳しくない方が広告と知らずにクリックするみたいです。(なお、一般に閲覧者は検索上位のサイトをより信頼し、価値ある正しい情報を提供していると思い込みがちだという研究結果が示されています。これについては、後日改めて取り上げたいと思います。)

リスティング広告のクリック数が増えることは、ヤフーと出稿している広告主には嬉しい話かも知れませんが、知らないでクリックしている閲覧者はなんだか騙されたようで、釈然としません。

子会社オーバーチュアを吸収合併し、これまで以上に利益追求に走るヤフーが、更に紛らわし検索結果の表示で、検索エンジン利用者に不利益を与えないことを願うと共に、これからもヤフーの動向を注視してきたいと思います。

リスティング広告の費用の現状


費用対効果が高いということで、利用者が増加し、価格が高騰していると言われるリスティング広告ですが、1クリックは安いキーワードで10円ぐらい、そこそこ高いキーワードで100円強ぐらいでしょうか。かなり高いキーワードになると1クリック1,000円を超えることもあります。

最近よく尋ねられることに、会社は普通どれぐらいの予算でリスティング広告を利用しているんでしょうか?ということがあります。リスティング広告の予算は普通1ヶ月数十万円と言われています。多い企業では月額数千万円を掛けているケースも少なくありません。

リスティング広告もまた他のネット戦略同様、戦略が大切になります。少し具体的な数字を上げてご説明します。例えば、1クリックが20円のキーワードを一月500,000円でリスティング広告に出稿したとします。すると、500,000円÷20円=25,000回クリックされることになります。ネット通販において購入者はそのページを見た人中100人に1人というのが相場ですから、25,000人÷100人=250人から購入していただけると考えられます。その時の商品の価格が5,000円で、粗利を4割とすると、売上が5,000円×250人=1,250,000円、儲けは5,000円×0.4×250人=500,000円となり、トントンという結果になります。これは良い結果のほうです。リスティング広告からの購入者は一般に新規顧客ですから。この250人のうち何割(通常1割〜2割)かはリピーターとしてまた購入してくれると想定できます。

ちょっと駆け足になりました。また別の機会にリスティング広告について取り上げたいと思います。

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